繰り返し

訪問介護は掃除やお出かけ、オムツ交換などただ手伝うだけではなく、会話によって利用者に心地よく支援を受けてもらうことも大切だと私は考えています。

しかし、認知症や自閉症である方との会話は、健常者同士の会話よりも難しいと感じることも多々あります。
ヘルパーとしてご支援を行っていると、認知症である高齢者の方と関わることは多いです。
認知症の高齢者の方との会話が難しい点は、記憶の障害でお話しをしている際に、少し前に仰ったことを忘れて同じことを繰り返してお話しになることです。

例えば、「今日は天気が良いですね」「今日はヘルパーさんとお出かけできて嬉しいわ」を数十分の間に何度も仰ることがあります。
それに対して私は、うまく話を広げることができずに「そうですね」「わかりました」というように、決まった返答をおこなってしまうことに悩んでいました。
また、それが繰り返しになると、自分の返事に気持ちが込められなくなり、そのようなつもりはないのですが気持ちの入っていない返事になり、気持ちのこもっていない返事では利用者様に会話を楽しんで頂けていないようにも感じ、会話が続けられず、良い支援ができていないと悩むことになっていました。

だからと言って「さっきも同じこと言っていましたよ」と返せば、忘れていることを責めているように聞こえる言い方では、利用者様を傷つけてしまいます。
そこで私はヘルパーから質問をして新しい話題につなげることにしてみました。
質問の内容は「昨日は何を食べましたか」「明日は何しますか」など利用者様によって質問の内容はいろいろと変えました。

ヘルパーは心のこもっていない会話にならずに済み、利用者様にとっても普段はしない会話をすることで、返答を考え認知症悪化の予防にもなってもよいだろうと思ったからです。

そしてその結果、ヘルパーにとっても利用者の新しい情報を知るきっかけになって良いことばかりでした。
そして、自閉症の方も同様に繰り返し同じことを仰る時があります。それは認知症であるご高齢の方がモノ忘れから仰るものとは違い、自閉症の方はこだわりの強さから気に入ったセリフを繰り返し言っているとのことでした。
そのことを知った時、私はよりその方へ興味をもつようになり、楽しい会話を続けることができるようになり、以前にもまして、強い信頼関係を築けるようになったと感じています。

自身の興味のひかれないお話などを繰り返されるときもあり、心に余裕がない時は「聞きたくない」と思うことがあるかもしれないません。
ですが、そういう時にも支援者から興味をもって質問をすることで、よい良いコミュニケーションを自然ととることができると思います。

施設介護から訪問(在宅)介護になって変わったこと

私は以前、特別養護老人ホーム、有料老人ホームなどの介護施設で働いておりました。
そして現在は、訪問介護の介護職員として働いております。
その環境の変化により、ヘルパーとしての仕事内容も大きく変化し、違いを多々感じています。

まずは、施設勤務であればヘルパー側がホーム(慣れた場所)で働けることです。ヘルパーのいる場所に入居して頂き、その施設のヘルパーの支援が基準となるので、他との違いを指摘する入居者様はほぼおられませんでした。
ヘルパーとしては介護スキルの向上のために、他の方の支援を見れるのでありがたい環境だと思います。
施設は、仕事内容としては1日に決まった業務を流れ作業のようにこなす日々のように、(あくまでも私個人はですが)感じていました。
入居者様に何か容態等の変化があれば、お役に立ちたいとは思いますが、その場合は看護師の方が対応され、ヘルパーがお手伝いすることができず、寂しく感じます。
ですから、そういった際にお役に立てない分、入居者様とお話をする時間やレクリエーションを精一杯笑って楽しんで頂こうと思って努力していました。

現在は訪問介護ヘルパーになり、ヘルパー側が完全にアウェー(不慣れな場所)な状態で働くようになり、正直なところあまりの違いに驚きました。
利用者様のお宅にお邪魔し、信頼関係の構築を図りながら時間内に支援を行い記録も書く。
今までと真逆に感じました。

そして自分と利用者様が1対1の状況。
周りにヘルパーはいないので何をするにも判断し責任も大きくなったと思います。
ご容態に変化があった時、緊急時などにも、しっかりと的確に対応することが大切であると身が引き締まりました。

ご自宅には家族様もおられることもあるので、生活のお邪魔にならないように、でも親しみをもってもらえるようにと、とても気を遣いながらの支援には緊張します。

そして利用者様はもちろんのこと、次に支援に入るヘルパーの方のことも考えて支援しないといけないと思いました。

利用者様から頂くお金は自分の提供したサービスへの対価だと思いますので、これから先も利用者様にご支援をさせて頂くにあたり、施設介護で培った介護スキルをフルに使い利用者様の残存能力を活用しつつ、ご要望を可能な限りでお応えし信頼関係を持てるヘルパーになれればと思います。

また、利用者さまの隣に寄り添って常に自分の行える最高の支援を提供できればと思います。

小さな積み重ね

小さな積み重ねヘルパーの仕事には、利用者様のオムツを交換をするというものがあります。
介護の仕事に就くまでは、オムツの交換などはしたことがありませんでした。

しかし、ヘルパーを始め色々なご支援を行うようになると、オムツを交換するご支援に入る機会もでてきました。
当然、研修をうけ練習もしていましたが、実際に利用者様のお体にふれオムツを交換するとなると、他のお体に触れて行うご支援とはまた違い、改めて身体に触れる支援は力加減や位置の微調整が難しいと感じました。
利用者様のお体に触れる衣服やオムツは、少しのズレでも利用者様にとっては気になるものです。

私も汗で服がくっついてめくれてくると気になって、すぐに直します。
私が通っていた中学校には何度もズボンを上げなおす先生がいて、その回数を数えて退屈な授業(他の授業は真面目にうけていました。本当です。)の時間を過ごしたりしたこともあります。

そのくらい誰でもズレは気になるものなのだと思います。
しかし、身体的に不自由がある方は、すぐには直せないですからいつまでも辛い思いをしないといけません。

私たちヘルパーはそんな利用者様のために、できるだけ早く気づいて直してあげたいと思います。
そして、オムツを履いたり服を着たりした時点で可能な限りズレにくいところに合わせてあげたいと。

そのために私は、自分が支援を受けている側にたつイメージを持つことにしています。
自分の股に清拭もしくはオムツを当てている意識をもってご支援をおこなっています。
例えば、清拭であれば力の向きによって痛かったり力加減を考えたりしていますし、お風呂で股を洗う時にどんな風に洗っているかをイメージし、それと同じように利用者様への清拭をしています。

オムツの位置であれば、パンツがしっくりきていない時にどんな風に引っ張って調整するかをイメージし、それと同じように引っ張るようにしてます。
清拭をするときに利用者様を傷つけることを気にして力が入れられず、「もっと強く拭いて」と言われるようなこともありましたが、自分の身に置き換えイメージをもつことで、適切な力で清拭ができるようになるように思います。

そして、イメージの精度を上げていけばまだ十分に拭けていないところが支援者もかゆく感じ、利用者様の感覚により近づけるようになると考えています。

また、普段は自然としている動作を再確認することも、身体介護の技術をあげることに役に立つと思います。
例えば、家で自分の頭を洗う時に指のどのあたりを使っているのか、どこからどういう風に洗っているのかの動作の確認をすれば、それが利用者様の洗髪をするときにただ洗髪をするだけにとどまらず、より利用者様が快適に頭を洗ってもらえるようになると思います。
ズレを直すことは支援の流れからみると小さいことで手間がかかることかもしれませんが、それをしっかりできるかどうかで利用者様の満足度が変わってくると思います。

そしてこのことは、利用者様が望んでおられるが利用者様からしたら細かい点で要望を伝えにくい点でもあると思います。
だからこそ、こういった細かいところで工夫をしているヘルパーと、そうでない支援者とでは知らず知らずのうちに差ができていくと感じています。

夏の水分補給としてオススメの飲み物

最近は、特に暑くなってきました。

たまに遭遇する夕立にもめげず、支援に励んでいる今日この頃ですが、皆様はどうお過ごしでしょうか。

ご利用者さんの中には、支援中に暑さでまいってしまう方が見受けられます。そのような時は涼しい所に避難したり、こまめな水分補給をして頂いています。

水分補給と言えば、最近は色々な水分補給用の飲料が発売されており、どれが一番いいのか迷ってしまいます。
個人的には麦茶がいいのかなと思っています。

なぜかと言うと、麦茶はミネラルを補給できるほか、身体を冷やす作用があると聞くからです。
皆様のおススメがあったら是非教えて頂きたいです。

スライヴケアは京都を中心に支援を展開しています。支援では京都市内を移動しますが、そんな時に「やはり京都はいいものだな」と改めて思います。

京都はイベント行事が沢山あり、どこへ行っても催し事にこと欠かない点がいいと思います。
それに京都は福祉にも力を入れていて、障害のある方でも日々を過ごしやすいのではないでしょうか。

先日、移動支援で祇園祭に行って参りました。
暑い中でしたがお稚児さんや鉾の移動は優雅なもので、私も久しぶりに祇園祭に参加できて嬉しかったですし、ご利用者さんにとても楽しんで頂けて、非常に有意義な支援ができたのではないかと思います。

でも、まだまだ暑い日が続きます。
そのため、いくらイベントが楽しくても屋外で長時間支援を行えば、ご利用者さん、ヘルパーとも熱中症になる可能性がないわけでは有りません。

ですから、当日の気温、天候を頭に入れておき、その場その場で臨機応変に対応し、快適で楽しい支援をおこなっていきたい
と思います。

それでは今から移動支援に行ってきます!!

利用者様からのご要望

利用者さんにもさまざまな方々がおり、支援方法もさまざまだ。

基本的には決められた手順に従い支援をおこなっていくが、支援は日常生活全般であり多岐にわたる。

また、各ご家庭で決め事もあるので、同じ支援でも全く同じ支援など無い。

初めのうちは手順を覚えることに必死だった。

「こんなにたくさんのことが、時間内にできるだろうか」と不安に思っていたが、そのうち自然と覚え

できるようになった。

しかし、普段の支援ができるようになると、それだけではないことに気づく。

いつもしている支援の合間に、利用者さんから要望を言われることがある。

例えば「テレビのリモコンを取ってほしい」や体位交換が一人でできない利用者さんなどは「横になり

たい」といった要望もある。

利用者さんによっては、手の届く範囲に置いてある物でも支援者にとってもらおうとされる方もいる。

私は「お体の為にも体を動かれることを意識してくださいね」言いながら、取ったりする。

そんないろいろな要望を言われる中、私は毎回『言われた時に言われたように』しており、利用者さん

にも満足して頂いていると思う。

利用者さんによっては、あまり話そうとされない方もいる。

だから、そういう要望を聞くことでコミュニケーションをとる良い機会にもなると考える。

それに、要望を聞き利用者さんの思う通り支援にしていくと、利用者さんからの印象をよくすることに

つながるだろう。

また、そういった時に気付く事柄はヒヤリハットの事前の気づきにもなり、重大なミスを未然に防ぐこ

とにもつながると思う。

だが、毎回『言われた時』にだけしていてよいのだろうか。

『毎回言われること』は普段からすることにした方が良いのではないだろうか。

あるいは、こちらから声を掛けるようにした方がいい場合もあるのではないだろうか。

私はそうだとも思うし、そうでないとも思う。

利用者さんによって考え方は違うし、支援方法も付き合い方も変わって当然だと思う。

しかし同時に、共通していることもあると思う。

それは、『利用者さんの立場にたって考える』ということだ。

「なぜ、この方はこうしてほしいのか」

「なぜ、この人は今言うのか」

「なぜ、この子はこのような行動をとるのか」

より良い支援を目指して、それらを考えながら支援をおこなう事を私は心がけている。

訪問介護員になったことで、私に起きた変化

この仕事を始めて良かったと思うことの1つは、
『人に優しくできるようになった』ということ。

大学生の頃も人に優しくできなかったわけではないが、この仕事を始めてからはより積極的に困っている人に関わっていけるようになった。

地図をみて困っていそうな人がいれば、声をかけるようになった。

もう1つ、仕事を始めて変わったことがある。

それは、『重度の障害をお持ちの方と自然に関われるようになったこと』である。

大学生の頃に、障害者施設のお祭りにボランティアとして行くことがあった。

その際、重度の障害をお持ちの方とお会いしたが、私はおもわず一歩引いてしまった。

その時に「私は介護のような仕事はできない」と思ったし、その時点では将来訪問介護の仕事に就くことは全く想像できなかった。

大学を卒業して、紆余曲折があり私はこの訪問介護の仕事に就いたが、重度の障害のある方とうまく関われるか非常に心配だった。

しかし、仕事に慣れていくにつれ、重度の障害をお持ちの方と関わることも求められるようになった。

初めは話しかけることさえうまくできず、本来は利用者様にお尋ねした方が良いことも指導担当の方に尋ねてばかりだった。

そのように指導担当の方に聞いてばかりいると、「利用者さんに聞いてください」と言われ、「ちゃんと答えてくれるだろうか」という不安を抱えながら、お聞きしてみると当然ながらしっかりと答えて頂けた。

その後、多くの方と接する機会を頂くことで、ゆっくりと丁寧に聞く姿勢さえ持っていれば、言葉では伝達が難しい方でも目線やしぐさで多くのことを語っていることに気付かされた。

それからは、少しでも多くの『声』を聞きとれるように心がけるようになった。

そして、この仕事に就いて数年が経った頃の出来事だが、駅で構内図を見て困っている様子の車椅子に乗った2人の方を見かけた。

大学生の頃の私なら声をかけられなかっただろうが、その時の私は友達が困っている時に話しかけるような自然な気持ちで声をかけることができた。

その方々との話が終わり別れた後で、後ろから「良い人もいるもんやね」と話しておられる声が聞こえた。

私はその時、「良い人と言われるような、そんな大したことはしていないのに。」と思ったが、ふと、大学生の頃の自分を思い出すと、恥ずかしいような気持ちになった。

訪問介護という仕事を始めていなければ、地図を見て困っている人に話しかけることはなかっただろうし、障害のある方にも話しかけることはできなかっただろう。

その方々が言っていた通りかもしれない、と思った。

そして今、私はこのように自然と人に優しくできるようになって良かったと思っている。

まだまだ聞き取れていない『声』は多いが、耳で、目で、『声』を聞いて、少しでも豊かな日常を感じてもらえるように、心がけていきたい。

ヘルプマークとは?

ヘルプマークとは?

最近支援をさせて頂けるようになった利用者様でヘルプマークをつけていらっしゃる方がいたので、改めてヘルプマークに関して調べてみた。

ヘルプマークとは東京都福祉保健局が作成し、外見ではわからない内部障害を持った方や義足、人工関節を使用されている方が周囲に配慮が必要だとわかり、援助を受けられるようにしたもの。主にバスや電車の中や駅構内などで目にするものである。

どうしてもしんどい時は優先座席に座られることもあるのでヘルプマークの事を知って障害者の方が少しでもストレスなく暮らせる世の中になって欲しいと思う。

ヘルプマークはまだまだ全国的にも知られておらず、平成29年3月現在、導入されている府県は6か所しかない。

京都府・和歌山県・徳島県・青森県・奈良県・神奈川県

ヘルプマークは区役所や庁舎などで手に入れる事が出来る。

しかし、このことを知らずにストレスが溜まりやすく生き辛さを感じている利用者様に対しては提案する事も支援者として時に必要である。

普段からしっかりコミュニケーションを取り、信頼関係を構築していくことで困りごとがあった際にすぐに関係機関と連携して問題を解決していくことも大事だ。

ヘルプマークだけではないが、今の時代はインターネットを使えば色んなサイトを探し情報を得られるので福祉の状況や今後の政策を知るという意味でも大事になってくる。

先日、北新地で知的障害者から1420万円を男女が奪ったという事件がありましたが、判断能力が低い人を狙った準詐欺ということで警察が調査を進めている。この場合でもヘルプマークを持っていれば、他に助けを呼ぶことが出来たかもしれない。自分の身を守るという意味でもヘルプマークの意味を知って常に持っておくことは大事だと思う。